三平の芸人人生を語る上で避けて通れないのが、名門・海老名家という巨大な存在です。父は昭和の演芸界に君臨した初代林家三平、母は一家を統率するエッセイストの海老名香葉子氏、兄は9代目林家正蔵(元・こぶ平)、姉は泰葉氏と海老名美どり氏という、芸能界きっての名家で育ちました。
この環境は大きな知名度をもたらした一方で、常に「偉大な初代との比較」「名門の御曹司」という色眼鏡で見られるプレッシャーを生み出しました。大喜利で家族ネタを振られることが多かったのも、番組側が海老名家のパブリックイメージを求めた結果であり、本人にとっては芸の幅を狭める足枷にもなっていたのです。
その苦境を公私ともに支え続けたのが、2011年に結婚した女優の国分佐智子夫人です。三平が笑点での評価に悩み、降板を決断する際にも、夫人は「あなたの落語が一番活きる場所で輝いてほしい」と背中を押したと伝えられています。家庭内での精神的な安定と支えがあったからこそ、三平はテレビタレントとしての挫折を乗り越え、噺家としての原点回帰を果たすことができました。