何千人もの応募者が殺到する主役オーディションの現場では、単に「演技が上手い」「ルーツが役に合っている」といった要素だけでは通過できない。近年の選考現場において制作陣が最も重宝するのは、数ヶ月に及ぶ長丁場の撮影に耐えうる「人間的なしなやかさ」と、カメラが回っていない場面でも周囲を惹きつけるパーソナリティだ。
かつては事務所の売り込みや知名度が先行する時代もあったが、現在は完全匿名に近い形で行われる一次選考や、徹底した本読みテストが導入されている。役柄の年齢層が広がるにつれ、キャリアの長さに関わらず「そのキャラクターとして毎朝画面の中に自然体で存在できるか」というリアリティが第一に問われるようになった。