高校野球界において「横高」の名は特別だ。スタンドを染める横高ブルーのメガホン、そして「YOKOHAMA」の文字が胸に刻まれた紺のユニフォームは、対戦相手にとって脅威そのものである。しかし、その強固なブランド力ゆえに、周囲からは「甲子園出場は当たり前、目指すは全国制覇のみ」という厳しい視線が注がれる。
渡辺元智氏が築き上げた黄金時代。そこから時代が令和へと移り変わり、球児たちの置かれた環境や価値観も大きく変化した。過去の成功体験だけに固執すれば時代の波に取り残され、かといって伝統を捨て去れば横高らしさが失われる。このジレンマと向き合い続け、葛藤を乗り越えてきたプロセスのなかにこそ、現体制の真価がある。