しかし、天才同士の生活が平穏無事であるはずがなかった。玉置浩二という男は、音楽に対して常に命を削るような生き方を選ぶクリエイターだ。その創作活動は時に狂気をはらみ、私生活をも飲み込んでいく。安全地帯の活動休止やソロ活動への移行など、玉置自身が激しい葛藤の渦中にいた時期、薬師丸はその最も近くで彼の苦悩を受け止めていた。
繊細すぎるがゆえに壊れやすい玉置の感性を、薬師丸は静かに支えようとした。だが、クリエイティブな刺激に満ちた日々は、同時に精神的な摩耗をもたらす。お互いを深く愛し、才能を認め合っているからこそ、ぶつかり合うエネルギーもまた巨大だった。二人の関係は、常に緊張感と隣り合わせの、美しくも危ういバランスの上に成り立っていたのである。