物語のクライマックス、視聴者を最も戦慄させたのは「日常へと戻れたはずの瞬間に訪れる絶対的な破滅」でした。激しさを増す東京大空襲の業火のなか、主人公・田宮太一(大泉洋)の一家と小島敏夫(堤真一)らは必死に防空壕へ逃げ込みます。爆音と閃光が収まり、土煙のなかから這い出た太一の目に飛び込んできたのは、見慣れたはずの現代の風景でした。
スマートフォンの電波が繋がり、遠くには高層ビル群がそびえ立つ光景を目にして、一家は「無事に令和の時代へ戻れた」と安堵の息を漏らします。しかし、その安堵はわずか数秒で無慈悲に打ち砕かれました。突如として空が白熱し、目も眩むような核の閃光が新宿・渋谷のビル街を一瞬で蒸発させたのです。ドローンカメラが引いて映し出したのは、完全に壊滅し焼け野原と化した「終わりの街」でした。
このラストシーンが意味するのは、単なるバッドエンドではありません。「戦争は遠い過去の出来事ではなく、私たちが生きるこの瞬間にも地続きで起こり得る」という、山田太一が原作に込めた警鐘を、宮藤官九郎が見事なリアリズムで令和の現実にアップデートした瞬間でした。安全圏にいると思い込んでいる現代人に対し、強烈な一撃を突きつける演出となっています。