「目の中ではなく、まぶたのキワや目のふちがかゆくてたまらない」と訴える方が増えています。ネット上では「アレルギー目薬をさせば治る」という誤解が散見されますが、これは医学的に見て非常に危険な自己判断です。
目のふちやまぶた周辺の皮膚は、人体の中でも最も薄い(約0.5ミリ程度)デリケートな部位です。ここに花粉が付着して生じるトラブルには、主に以下の2種類が存在します。
第1に、皮脂腺(マイボーム腺)の出口が詰まって炎症を起こす「眼瞼炎(がんけんえん)」です。花粉によって誘発されるだけでなく、メイク汚れや過剰な皮脂、あるいはかゆみから目をゴシゴシ擦ったことによる細菌感染(ものもらい=麦粒腫など)が複雑に絡み合っているケースが多々あります。この状態の患部にメントール等の清涼感刺激が強い目薬や、血管収縮剤入りの目薬を頻繁に流し込むと、かえって皮膚炎を悪化させる結果となります。
第2に、「花粉皮膚炎」と呼ばれるアレルギー性の接触皮膚炎です。バリア機能が低下した目元の肌にスギ花粉抗原が直接侵入して赤みやかゆみ、粉吹きを引き起こします。この場合、必要なのはアレルギー点眼薬ではなく、ワセリン等による物理的保護膜の形成や、皮膚科・眼科で処方される非ステロイド性抗炎症外用薬、あるいはごく弱い眼科用ステロイド眼軟膏(プレドニゾロン等)のピンポイント塗布です。目薬だけで解決しようとせず、「皮膚のトラブルか、結膜のトラブルか」を冷静に見極める視点が欠かせません。