かつてフジテレビジョンなどの民放各局や日本放送協会(NHK)は、数々の事件を取り上げた優れたノンフィクションや報道特番を世に送り出してきた。しかし、フィクションの枠組みを用いた実録犯罪ドラマとなると、日本の放送局は極めて慎重な姿勢を崩さない。
公共放送としての矜持を持つ日本放送協会は客観的事実の検証に重きを置き、民放局はコンプライアンス基準の厳罰化によって過激な実録物の制作から距離を置いてきた。この地上波メディアの自主規制が生み出した巨大な空白地帯に、ネット配信サービスが切り込んできた構図といえる。テレビが手を引いた領域で、どこまで表現の自由と被害者感情の均衡を保てるのか。日本の映像文化全体が試されている。