1997年7月29日に開館した同館の設計を手掛けたのは、プリツカー賞受賞建築家である安藤忠雄氏です。安藤氏の代名詞ともいえるコンクリート打ち放しの造形が、松原湖高原の原生林と鮮烈な対比を生み出しています。建築の核心は「外部の自然をいかに内部空間へと引き込み、来館者の精神を研ぎ澄ますか」という綿密な空間シークエンスにあります。
建物の見どころは多岐にわたりますが、特に注目すべきは以下の3つの設計意図です。
- 円筒形展示室とスロープの動線構造:館内の中核をなす円筒形の展示空間では、緩やかなスロープを移動しながら作品を鑑賞します。視線が垂直方向と水平方向に滑らかに移動することで、平面的な美術館では味わえない立体的な鑑賞体験が得られます。
- スリット窓が切り取る「生きた絵画」:幾何学的な無機質のコンクリート壁に突如として現れる細長いガラス窓からは、浅間山や八ヶ岳の山並みが借景として飛び込んできます。光の角度や季節の移ろいによって刻々と表情を変える自然光の演出は、安藤建築ならではの計算され尽くした美学です。
- 郷土作家と人間国宝を包み込む包容力:小海町出身で元国画会会員の洋画家・故栗林今朝男氏の重厚な油彩画や、人間国宝である陶芸家・故島岡達三氏の縄文象嵌(じょうもんぞうがん)陶芸が、シャープな現代建築と見事な調和を保ちながら常設・収蔵されています。