ホテルセリーヌの悪名を決定づけたのが、2階の一室の壁に大きく描かれた妊婦の絵の落書きです。大きく膨らんだ腹部に胎児が描かれ、異様なタッチの顔貌が鑑賞者に精神的な恐怖を与えるこの絵は、ネット上で「呪われた絵」「見ると事故に遭う」などと拡散されました。
「一体誰が書いたのか」という疑問に対し、地元関係者の証言やグラフィティ文化の分析から浮かび上がる真相は、閉業後に侵入したストリートアーティストまたは美大関係の訪問者による作品という見解です。
閉業直後の写真にはこの絵が存在せず、荒廃が進んだ中期以降に突如として出現したことが確認されています。事件の被害者が残したダイイングメッセージといったオカルト的な背景ではなく、廃墟という閉鎖空間の異様さを引き立てるために描かれた悪趣味なグラフィティアートが、ネットを通じて恐怖のシンボルへと仕立て上げられたのが実態です。