天達武史さんの経歴は、理系エリートやアナウンサー出身者が多い気象キャスター界の中でも異色を放っています。神奈川県立津久井浜高等学校を経て御茶の水美術専門学校デザイン科を卒業。当初はグラフィックデザインの世界を志していましたが、その後の人生の転機は学生時代から約9年間続けていたファミリーレストラン(デニーズ)の厨房アルバイトでした。
料理の仕込みや食材の発注責任者を任されていた際、「晴れて気温が上がると冷やし中華やアイスの注文が急増し、雨で冷え込むとグラタンや温かいスープの売れ行きが跳ね上がる」という、気象条件と売上の密接な連動性を肌身で実感。「天気を正確に先読みできれば、食材の廃棄ロスをなくし、店舗運営を完璧にコントロールできるのではないか」と考えたことが気象予報士を目指す直接の引き金となりました。
しかし、文系・美術系出身の天達さんにとって、気象予報士試験の壁は極めて高いものでした。物理や数学の数式、大気力学の専門用語に苦戦しながら、アルバイトと勉強を両立する生活を継続。通算7回目の受験、足掛け約4年の歳月を費やし、合格率わずか4〜5%の超難関を突破しました。この泥臭く諦めない挑戦の歴史こそが、専門用語を一切使わずに生活者目線で天気を語る独自のスタイルの土台となっています。