テレビをつければ、そこに彼女がいる。それは半世紀近く日本の日常だった。しかし、1.5倍速で動画を消費する若者にとって、あの独特の「間」は苦痛でしかないらしい。話の腰を折る。自分の話ばかりする。そうした指摘がネットの掲示板に溢れる。かつて「自由奔放でチャーミング」と評された彼女のトークスタイルは、効率主義の刃によって「テンポが悪い」と切り捨てられているのだ。
だが、これは彼女の劣化を意味するのだろうか。いや、むしろ視聴者の側が、予定調和ではない「生の会話」に耐えられなくなっているのではないか。台本通りに進むYouTubeやTikTokに慣れ親しんだ世代にとって、黒柳の予測不能なパス回しは、恐怖すら感じさせる異物なのだ。