手渡されるメニューを開くと、往年のクラシック名画から世界的な大ヒット作、さらにはカルト的な人気を誇るB級映画まで、幾多のタイトルがずらりと並ぶ。だが、本当の醍醐味はメニューに載っていない「自分の好きな映画」をリクエストした瞬間に始まる。
例えば『タイタニック』を頼めば、青く澄み渡るリキュールの中に沈む氷が、氷山と悲しくも美しいラブストーリーを思い起こさせる。『ファイト・クラブ』なら少し毒のあるグラデーションと刺激的なスパイスが効いた味わいに。『ローマの休日』ならどこか甘酸っぱく上品なフィニッシュが口の中に広がる。2026年から2026年にかけて話題をさらった最新の海外SF大作や邦画アニメを注文しても、バーテンダーは即座にその作品の世界観を捉え、視覚と味覚で表現してみせるのだ。