肩書を聞かれたとき、彼女はしばしば言葉を詰まらせるという。監督なのか、アーティストなのか、あるいはプロデューサーなのか。そんな分類そのものが、彼女にとっては無意味なノイズに過ぎないのかもしれない。「何か一つの箱に自分を収めた瞬間、表現の足場が揺らぐ気がする」。かつてインタビューでそう語った言葉通り、彼女の活動領域は映像表現にとどまらず、空間インスタレーションや立体音響の設計にまで果てしなく広がっている。
特定のジャンルに安全に安住することを拒むその姿勢は、SNS世代を中心に爆発的な共感を呼んでいる。完成されたパッケージを押し付けるのではなく、未完成の余白を残すこと。観客が自らの記憶や感情を投影できる「隙間」を意図的に作り出すことで、作品は観る者それぞれの物語へと昇華していく。押し付けがましさの皆無なアプローチが、結果として熱狂的なファン層を形作っているのだ。