カルチャー批評やポピュラー音楽史の視点からこの現象を分析すると、寺田恵子の写真集は「日本の芸能界における女性アイドルの脱皮手段」とは構造が根本から異なっていたことが分かります。
昭和から平成にかけて、アイドル歌手やタレントが活動休止や事務所移籍を機に過激な写真集を出すケースは枚挙にいとまがありません。その多くは男性目線に合わせた「清純派からの脱却」「大人の色気」を演出する受動的なプロモーションでした。
対照的に、寺田恵子の試みは「心理的バウンダリー(境界線)」を自らの手で引き直す行為でした。バンドという共同体、レコード会社が作り上げた「SHOW-YAの姐御」という偶像から脱却し、自分自身の身体に対する主権を回復するための表現だったと言えます。
【プロの結論】作品を今から鑑賞・収集すべき人の判断基準
現在、古書市場やオークション等で写真集『BODY』の入手を検討している読者に向けて、明確な判断基準を提示します。
【鑑賞をおすすめできる人】
・SHOW-YAおよび寺田恵子の音楽的背景や生き様に深い敬意を持っている人
・1990年代初頭のフィルム写真の質感や、山岸伸氏による陰影豊かなアートポートレートを評価したい人
・ストイックに鍛え抜かれた女性の肉体美や、自立したロックスピリットに刺激を受けたい人
【購入をおすすめできない人】
・現代の成人向けグラビアのような過激な露出やセンセーショナルな刺激のみを求めている人
・ステージ衣装を着て歌う寺田恵子以外の姿を受け入れられない固定観念の強いファン