日本のドラマ史において、フジテレビが制作した『踊る大捜査線』を外して深津絵里のキャリアを語ることはできない。湾岸署の盗犯係刑事・恩田すみれというキャラクターは、従来の「刑事ドラマにおけるマドンナ的存在」というステレオタイプを完全に打ち破るものだった。
タフで現実的、それでいて警察機構の矛盾に傷つき葛藤する一人の働く女性としてのリアル。正義感を振りかざすのではなく、泥臭い現場の痛みを誰よりも知るすみれの姿は、同年代の女性視聴者から絶大な支持を集めた。織田裕二演じる青島俊作との絶妙な掛け合いや、言葉には出さない深い信頼関係の描写は、今なお色あせることのない名場面として語り継がれている。