1968年に誕生したカール(スナック菓子)は、日本初の本格的なコーンスナックとしてスナック菓子業界に革命をもたらした。しかし、その革新性は味覚や製法にとどまらなかった。株式会社 明治が展開したキャラクターマーケティングの手法は、現代のブランディングの教科書といえる先駆的なものだった。
当時、菓子メーカーのキャラクターといえば、可愛らしい動物や子ども単体の意匠が主流だった。そこに「泥臭い農村のおじさん」と「素朴な坊や」を据えた世界観を持ち込んだことは、極めて大胆な挑戦だったといえる。子どもだけでなく、購買決定権を持つ母親やノスタルジーを感じる父親層まで、全世代を巻き込むことに成功した。
パッケージを見るだけでおらが村の物語が脳裏に浮かび、口に含めばサクサクとした食感とともに出汁の風味が広がる。五感とストーリーを直結させたこの戦略によって、ブランドは半世紀以上にわたる強固なロイヤルティを築き上げた。