『そばかす』の歌詞には、一度聴いたら忘れられない印象的なフレーズが随所に散りばめられています。中でも多くのリスナーの心を掴んで離さないのが、サビの「想い出は いつも 綺麗だけど それだけじゃ おなかがすくわ」というパンチラインです。
過去の美しい記憶にすがりついて泣いていても、人間は生きている限りお腹が減る——。この極めて現実的でちょっぴりユーモラスな表現こそ、YUKIという表現者の真骨頂です。ノスタルジーに浸るだけでは生きていけないという「生の本能」を、ひらがなを効果的に用いたリズム感あふれる言葉遊びの中で軽やかに言い切っています。
また、「耳をふさぐピアスの穴」や「カエルの歌」といった日常の情景をコラージュのように繋ぎ合わせる独特の作詞手法は、90年代カルチャーの瑞々しさを象徴すると同時に、失恋のどん底から日常へ復帰していく人間のリアリティを見事に捉えています。