なぜ知識人や社会経験の豊富な大人までもが、客観的に見て異常な教団に盲従してしまうのか。その心理的メカニズムを解明したのが、元カルト信者であり心理学者のスティーヴン・ハッサンが提唱した「BITEモデル」だ。宗教社会学の知見においても、カルト的組織の支配構造を分析する世界基準のツールとして広く活用されている。
BITEモデルは、人を特定の信念体系に拘束する4つの制御手法(Behavior / 行動、Information / 情報、Thought / 思考、Emotion / 感情)から成り立っている。まず睡眠時間や食事、日課を過密なスケジュールで拘束して肉体的な抵抗力を奪う。次に、教団批判やネットの外部情報を「悪魔の誘惑」と規定して情報へのアクセスを徹底的に遮断する。
さらに「教祖の教えを疑うこと自体が罪」と教え込むことで自己否定的な思考パターンを刷り込み、脱退すれば地獄に落ちるという恐怖や罪悪感を植え付けて感情を操るのだ。この洗脳・マインドコントロールの網の目に囚われると、本人は自発的な意志で選択していると信じ込んだまま、組織の歯車と化してしまう。