『ブレイキング・バッド』に登場する数ある悪役の中でも、ガス・フリング(演:ジャンカルロ・エスポジート)の不気味さは際立っている。彼の恐ろしさは、感情を一切表に出さない静寂の中にある。大声を上げることも、無駄に拳を振るうこともない。常に清潔なシャツを着こなし、アルバカーキの警察署にも寄付を行う「模範的市民」として振る舞う。
しかし、ひとたび裏の顔を見せれば、障害となる者は容赦なく排除する。カッターナイフ一本で身内すら屠ってみせるあの冷血さは、海外ドラマ業界の悪役史においても屈指の戦慄をもたらした。感情を削ぎ落とした静寂の行動美学こそが、彼の冷酷な素顔なのだ。