戦艦大和が「世界最大」と呼ばれる理由は、単なる船体の長さではなく、その驚異的な体積と重量にあります。公式記録に残る基本仕様を紐解くと、当時の工学水準を極限まで押し広げた数値が浮かび上がります。
戦艦大和の全長は263メートル。これは新幹線先頭車両から数えて約10両分に匹敵し、東京駅のホームにすっぽりと収まるほどの巨体です。しかし、大和の設計で真に異彩を放っていたのは「幅」と「深さ」の比率でした。最大幅は38.9メートルにも達し、船体の中央部は一般的な戦艦よりも極めて太く設計されています。この幅広の船体断面が、後述する巨大な主砲の反動を支え、強靭な復原力を生み出す土台となりました。
水面からの高さも見上げるばかりの威容を誇っていました。キール(竜骨)から艦橋頂部の主砲射撃指揮所までの高さは約51メートルあり、これは現代の17階建て高層ビルに匹敵します。水面から艦橋最上部だけでも約38メートルあり、荒波吹き荒れる外洋でも揺るぎない司令塔として機能しました。
そして、最も他国の軍艦を圧倒したのが重量指標である戦艦大和の排水量です。燃料や弾薬を満載した状態での満載排水量は約7万2,800トン(基準排水量でも約6万4,000トン)を記録しました。他国の主力戦艦(米国のアイオワ級で満載約5万7,000トン、英国のキング・ジョージ5世級で約4万2,000トン)を大きく引き離し、水上戦闘艦としては名実ともに人類史上最も重い軍艦となったのです。
この重量の大部分を占めたのが、主砲口径46センチ(45口径46cm3連装主砲塔)3基と、それに耐えうる徹底した防御装甲でした。主砲塔1基あたりの重量だけで約2,774トンに達し、これは当時の大型駆逐艦1隻分の重量を上回る規模です。大和は文字通り「動く巨大要塞」そのものでした。