現在の焼き鳥シーンは、二つの異なるベクトルで進化を加速させている。一方は、国産鶏肉にこだわり抜き、均一価格で圧倒的なコストパフォーマンスと安心感を提供する大衆チェーンの存在だ。仲間と気軽に乾杯できるサードプレイスとしての役割は、都市の生活リズムに深く根ざしている。
もう一方は、地鶏の長期肥育や血統にまで踏み込み、鶏肉のポテンシャルを極限まで引き出す劇場型カウンターの探求だ。どちらが優れているかという議論は意味をなさない。日常を支える大衆店と、非日常の感動を与えるプレミアム店。双方が高い熱量で切磋琢磨を続けることによって、日本の鶏肉文化とサプライチェーン全体の水準が押し上げられている。