埼玉県さいたま市見沼区に構えるロヂャース大宮店へ足を踏み入れると、天井近くまでうずたかく積まれた段ボールと、手書き風のインパクトあるプライスカードが目に飛び込んできます。北辰商事が運営するディスカウントストアの草分けとして知られる同店が、大手スーパーチェーンを圧倒する低価格を維持できる背景には、明確な3つの経営構造が存在します。
第1の理由は、「メーカー・問屋からの直接一括現金仕入れとスポット買い」です。北辰商事は長年培った独自の仕入れルートを持ち、メーカーの過剰在庫やパッケージ切り替え前の旧品、季節限定品の残余ロットを大量に現金決済で買い取っています。メーカー側にとっても在庫を一気にキャッシュ化できるメリットがあり、これが市場相場から30〜50%引きという破格の仕入れ値を実現させています。
第2の理由は、「徹底的なローコストオペレーションと陳列コストの削減」です。店内を見渡すと、商品を一つずつ棚に並べるのではなく、入荷したパレットや段ボールの前面をカットしてそのまま積み上げる「カットケース陳列」が徹底されています。これにより、品出しにかかる人件費を極限まで圧縮。さらに、店舗内装や照明設備への過度な投資を抑え、浮いた経費をすべて販売価格へ還元するサイクルが定着しています。
第3の理由は、「プライベートブランド『マイカイ(mykai)』の戦略的展開」です。ナショナルブランド(NB)と同等以上の品質を維持しながら、中間マージンを完全に排除したPB商品は、調味料、飲料、冷凍食品、日用消耗品に至るまで幅広いラインナップを誇ります。2026年時点でも、一般的なNB製品と比較して2割から4割ほど安い価格設定が維持されており、消費者の防衛買いを強力に支えています。