オフィス北野に迎え入れられた彼は、たけし軍団の一員として再出発を切ることになる。そこで師匠から授けられた芸名が「なべやかん」だった。父である「なべ」より一回り小さく、お湯を沸かすだけの「やかん」。自らの出自と消せない汚名を逆手に取った、強烈すぎるアイロニーとユーモアが込められた名前だ。
普通なら隠したくなるような過去を、芸名として毎日名乗らせる。それは逃げ道を塞ぐ過酷な処置であると同時に、「この名前で堂々と生きていけ」という師匠からの不器用なエールでもあった。なべやかんは一切の言い訳を捨て、体を張った過激な企画や過酷なロケに挑み続け、芸人としての泥臭い一歩を踏み出していった。