ストレスが引き起こす物理的破壊行動の中で、近年特に問題視されているのが「無意識の食いしばり・歯ぎしり」と「TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)」です。通常、安静時の人間の口内では、上下の歯の間に1〜3ミリ程度の隙間(安静空隙)が保たれており、食事や会話を含めても上下の歯が接触している時間は1日あたり合計15〜20分程度に過ぎません。
ところが、PC作業やスマートフォン操作、精神的プレッシャーを感じている最中、多くの人が無意識に上下の歯を接触させ続けています。たとえ強い力で噛み締めていなくても、わずかに触れ合っているだけで、顎を動かす咬筋や側頭筋には持続的な緊張シグナルが送られ続けます。
この持続的負荷によって筋肉内に「トリガーポイント」と呼ばれる硬いしこりが生じると、筋肉自体の痛みにとどまらず、そこから神経を介して離れた奥歯へと痛みの錯覚が放散されます。これこそが筋筋膜性歯痛のメカニズムです。睡眠中の強烈なブラキシズム(歯ぎしり)では、体重の2倍以上(70〜100kg超)の圧力が歯と顎関節にかかることも実証されており、朝起きた瞬間の歯の浮くような痛みや鈍痛の引き金となります。