狭さや圧迫感を根本から解消するために、まず着手すべきは徹底した動線計画の見直しである。プロの設計者が実践する鉄則は、部屋の片側に幅80センチメートル以上の「幹線通路」を一本まっすぐに通すことだ。障害物のないクリアな直線通路が1本あるだけで、人間の脳は空間に十分な余裕があると感じ取る。
さらに、手前から奥に向かって家具の重心を徐々に下げていく「グラデーション配置」が極めて高い効果を発揮する。キッチンカウンター側には標準的な高さのダイニングセットを置き、リビング中央にはロータイプのソファ、そして窓際には脚付きの軽やかなパーソナルチェアやガラス天板のテーブルを配置する。奥に行くほど垂直方向の遮蔽物をなくすことで、視界のパースペクティブ(遠近感)が強調され、実面積以上の広がりが生まれる。
最近のメイクトレンドとして見逃せないのが、「あえてソファを斜めに振る」あるいは「ダイニングとリビングの境界を斜めにゾーニングする」アプローチだ。長方形のグリッドに対して対角線のベクトルを1本入れるだけで、単調だった長方形の空間に立体的な陰影と奥行きが出現する。