日本獣医師会(JVMA)や公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)といった専門機関は、肥満を単なる「太り気味な状態」ではなく、全身に慢性炎症を引き起こす重大な疾患群として位置づけている。
最新の臨床知見では、過剰な脂肪組織から分泌されるアディポカインと呼ばれる生理活性物質がインスリン抵抗性を悪化させ、寿命を著しく縮めるメカニズムが解明されてきた。獣医師会が推奨するBCS評価法(5段階または9段階評価)では、腹部のたるみがプライモーディアルポーチであっても、肋骨周囲の脂肪蓄積度合い(BCS4以上)が見られれば厳格な食事・運動療法の対象となる。
「プライモーディアルポーチがあるから太って見えるだけ」という飼い主の思い込みが、潜在的な高血糖や心血管系への負担を見逃すカモフラージュになってはならない。学会レベルでの啓発活動は、外見のたるみに惑わされない客観的な指標の定着に力を注いでいる。