このエピソード最大の衝撃は、ラスボスである羂索が見せた常軌を逸したお笑い知識の深さにある。まるでM-1グランプリの審査員のごとく、高羽のツッコミのタイミングやフリップ芸の構成を鋭く指摘。客観的かつ痛烈な酷評によって高羽の「自信」を崩しにかかる戦術は、従来のバトルマンガの概念を完膚なきまでに打ち砕いた。
黄櫨折寿の遺体を目撃させ、現実の死という重圧を高羽の脳裏に突きつけた場面は秀逸だ。「お前は本当に面白いのか?」という問いかけ。高羽の笑顔が消え、術式の発動条件である純粋な滑稽さが失われていくプロセスは、ギャグの皮をかぶった上質なホラー映画の趣すら漂わせていた。