なぜ人は、恐ろしいと分かっていながら検索ボタンを押してしまうのか。その心理的背景には、1990年代末に世界的なムーブメントを起こした映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に始まる「現実と虚構の境界を曖昧にする演出手法」が存在する。映画『リング』における「見たら呪われるビデオ」の恐怖が日本中を震撼させたように、視聴者自らが能動的に恐怖へ近づく体験こそが、アトラクションとしての没入感を極限まで高めるのだ。
怪談界の大御所・稲川淳二氏が語る伝統的な怪談が「語り手と聞き手の空間の共有」で成立していたのに対し、Web上で拡散するネット都市伝説は「自ら検索して辿り着く」という参加型体験に進化を遂げた。この能動的なアクセスが、怪異への恐怖をより切実なリアルとして体感させてしまう要因となっている。