家系をさらに深く掘り下げると、歴史の表舞台と裏舞台が複雑に交差するダイナミズムが見えてくる。黒柳家のルーツを遡ると、江戸時代に尾張徳川家に仕えた尾張藩士の家系に行き着く。武士としての高い気品と、芸事や学問を重んじる名古屋独特の文化風土。これが父・守綱の持つストイックな芸術家精神の背景にある。
一方で、母方の門田家は四国・愛媛の士族の流れを汲み、明治維新の波に乗って新天地・北海道へと渡った一族だ。東西の異なる風土、武士の品格と近代医学のフロンティアスピリット。これら一見すると相反するような要素が見事な融合を果たしたのが、黒柳徹子という存在にほかならない。権威におもねることなく、それでいて伝統の重みを知る彼女の佇まいは、まさにこの壮大な血脈がもたらした歴史の産物だ。