激動の時代を駆け抜けた名女優・葉月蛍の現在と伝説の出演作を一挙総括すると、見えてくるのは一貫した「表現への誠実さ」だ。表舞台から距離を置く時期があっても、彼女が残した作品群が放つ光彩は一切色褪せない。むしろ時代がデジタル化し、均質化されたコンテンツで溢れる現代だからこそ、彼女の放つ生々しい身体性と情念のリアリティが再評価されている。
なぜ彼女の足跡はこれほど強烈に記憶されるのか。それは、役柄の倫理や常識を飛び越え、人間の生と性、その根底にある哀しみを誰よりも過激に、かつ無防備に体現してみせたからに他ならない。ファン必見の完全ガイドとして彼女の軌跡を振り返るとき、そこにあるのは日本映画の黄金期が残したかけがえのない熱源そのものだ。