この大改装の原点を振り返る上で欠かせないのが、親会社であったセブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却理由と、それに伴う労働組合の反発です。百貨店事業の収益性低下に直面していたセブン&アイは、祖業であるコンビニ事業への集中を求める物言う株主(アクティビティ・ファンド)からの強い圧力に晒されていました。その結果、2026年9月に約2,200億円規模で米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへ売却が完了しました。
フォートレスの事業パートナーとして不可欠だったのが、盤石な資金力とターミナル駅前での圧倒的な集客力を誇るヨドバシカメラを傘下に持つヨドバシHDでした。しかし、このスキームに対して「西武百貨店の伝統と雇用が奪われる」「池袋の街づくりの調和が崩れる」として、西武池袋本店の労働組合は2026年8月31日に大手百貨店として約61年ぶりとなる終日ストライキを決行しました。シャッターが下ろされた池袋駅東口に響いた組合員の叫びと、店頭を取り囲んだ多くの市民の姿は、日本の流通史に刻まれる象徴的な光景となりました。
かつて堤清二氏が率いたセゾングループ時代、西武池袋本店は現代アートやセゾン劇場、無印良品やロフトを生み出し、「モノからコトへ」の文化創造拠点として日本の消費社会を牽引しました。その誇りとアイデンティティが、外資系ファンドと家電量販店の論理によって刷新されることへの葛藤が、あのストライキの本質的な要因でした。