ケチャップが服についた際、もっとも避けるべき行動がいきなりの水洗いや水拭きです。ケチャップの主原料であるトマトには、鮮やかな赤色を生み出すリコピン(カロテノイド系色素)が豊富に含まれています。このリコピンは極めて強力な「脂溶性(油に溶けやすく水に溶けない)」の性質を持っています。
さらに市販のケチャップや料理に含まれるソースには、トマト本来の油分や調理油、糖分、醸造酢が混ざり合っています。この状態で水分を与えると、表面の油分が水を弾いて油膜を形成し、その内側にリコピン色素を閉じ込めたまま繊維の微細な隙間(フィブリル間)へと浸透させてしまいます。
結果として、表面の糖分や酸味成分だけが洗い流され、赤黒い脂溶性色素だけが繊維に焼き付くように残ってしまいます。ケチャップ汚れに対峙する際は、まず「油分を界面活性剤で浮かせ、その後に色素を酸化分解する」という二段階のアプローチが不可欠です。