一般的な悪党や詐欺師であれば、目的は明確だ。金、権力、あるいは自己の利益。しかし、喪黒福造は一切の対価を受け取らない。「私のお金は一銭もいただきません」という彼の決め台詞は、ボランティア精神から出たものではない。むしろ、対価を求めないからこそ、彼の存在は不気味さを増す。
経済的な合理性で動く現代社会において、対価を求めない取引ほど恐ろしいものはない。彼はターゲットが破滅する瞬間を見届けること、ただそれだけのために動いているように見える。彼の報酬は、人間の心が崩壊する瞬間に生じる「カタルシス」そのものなのかもしれない。