演歌の真骨頂である情緒を表現するために欠かせないのが、こぶし(装飾音)とビブラートの巧みなコントロールです。大月みやこ歌唱の真髄は、過剰に崩しすぎず、要所要所で鋭く繊細に回転させる独特のこぶし回しにあります。
まず押さえるべき歌唱ポイントは、「母音の押し出しと引き算」です。Aメロでは言葉の頭を強くアタックしすぎず、北国の静寂を思わせるように息を多めに混ぜてウィスパー気味に入ります。そこからBメロに向けて徐々に母音の輪郭をくっきりさせ、サビへの助走を作ります。
こぶしを入れる絶好のタイミングは、フレーズの末尾や音符が跳躍する瞬間です。喉で無理に音を揺らそうとするとピッチが不安定になるため、お腹(丹田)の支えを意識し、一瞬だけ音を半音上かすめて元の音に戻す感覚を掴みましょう。特にサビの「あなた」と叫ぶようなフレーズでは、母音「あ」に短いアクセントのこぶしを一発入れるだけで、一気に本格的なプロのニュアンスが漂います。
ビブラートに関しては、演歌特有の細かい「ちりめんビブラート」に頼りすぎず、均一な周期で深くかける大きなビブラートをロングトーンの後半に重ねるのが現代のカラオケにおけるトレンドです。音をまっすぐ伸ばしてから最後の1〜2拍で自然に揺らすと、非常に美しい余韻が残ります。