いくら優れた医療用素材であっても、日々の食生活による着色を完璧に防ぐことは難しい。特にカレーに含まれるクルクミン、コーヒーや赤ワインのポリフェノール、キムチのカプサイシンなどは、ポリウレタンの微細な網目構造に染み込み、短時間で頑固な変色を引き起こす。
賢い患者たちの間では、食事のタイミングを戦略的にコントロールする工夫が共有されている。「カレーやトマトパスタを食べるのは、ワイヤー調整(ゴム交換)の前日か当日受診の直前に限定する」というルールだ。交換直前であれば、どれほど派手に黄色く染まろうとも数時間後には新品のゴムに付け替えられるため、精神的なストレスを感じずに済む。
食後すぐに水で口腔内を強くゆすぐ習慣や、色素を吸着しにくい毛先の細いタフトブラシを用いた丁寧なブラッシングも、鮮やかな色彩を長持ちさせるための鉄則である。