仏教初心者や一般の参列者が最も混乱しやすいのが、「南無釈迦牟尼仏」「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」の3大フレーズの違いです。文字面は似通っていても、対象としている尊格、救済へのアプローチ、そして根底にある人間観はまったく異なります。
最大の違いは「自力(じりき)」か「他力(たりき)」かという哲学的立脚点です。南無阿弥陀仏(浄土宗・浄土真宗)は、自らの力では煩悩を断ち切れない凡夫が、阿弥陀如来の無限の慈悲(本願)にすべてを預け、死後に極楽浄土へ往生することを願う「絶対他力」の教えです。阿弥陀仏は西方十万億土のかなたに存在する超越的な救済仏であり、歴史上実在した人物ではありません。
これに対し、南無釈迦牟尼仏は「歴史上実在した生身の人間」に帰依し、自らも実践(坐禅や作法)を通じて今この現実世界で苦しみを乗り越えようとする「自力」の姿勢を重んじます。また、南無妙法蓮華経(日蓮宗系)は特定の仏の名ではなく、『妙法蓮華経(法華経)』という「宇宙の究極の心理・経典そのもの」に命を捧げる題目です。
3つの決定的な相違点を客観的に整理したのが以下の比較表です。