ジブリ作品における「行動する男」の原型を提示したのがパズーだ。スラッグ渓谷の鉱山で働く一介の見習い機械工でありながら、空から降ってきた少女シータを守るため、ためらいなく巨悪に立ち向かう。目を見張るのは、その身体能力の高さと決断の速さだ。トランペットの澄んだ音色のように真っ直ぐで、打算が一切ない。パズーの行動原理は常にシンプルであり、だからこそ観る者の胸を打つ。
一方、アシタカが背負うものはあまりにも重い。エミシの村を救う代償として死の呪いを受け、理不尽に故郷を追われた若き首長後継者。彼は自らの運命を呪うことなく、「曇りなき眼で見定める」ために西へと旅立つ。神と人間、自然と文明の血みどろの衝突の狭間に立ち、両者の刃を素手で受け止めるような生き様は、ファンタジー映画の枠を完全に超越している。