夏川結衣の演技が批評家や映画監督から絶大な信頼を寄せられる理由は、セリフに頼らずとも感情の揺らぎを伝える卓越した身体表現と瞳の芝居にあります。痛ましさや歓喜、絶望といった多層的な感情を、呼吸一つで表現し切る技術は同世代の女優の中でも突出しています。
その実力は数々の映画賞でも証明されており、成島出監督の『孤高のメス』(2010年)や、山田洋次監督の『東京家族』(2013年)、『家族はつらいよ』(2016年)などで日本アカデミー賞優秀助演女優賞を幾度も受賞。大巨匠たちがこぞって彼女を起用する背景には、初期のハードな作品群で鍛え抜かれた表現への誠実さと、現場で見せる確かなプロフェッショナリズムが存在しています。