世論から「また口先だけか」と非難されながらも、日本政府が「極めて遺憾」と声明を出し続けるのには、国際法および外交安全保障上の極めて合理的な理由が存在します。
国際法には「禁反言(エストッペル)の法理」や「黙認(アクイエッセンス)」という概念があります。他国から主権侵害や領海侵入を受けた際、もし被害国が沈黙して抗議を行わなければ、国際社会から「その行為を黙認・承認した」と解釈されるリスクが生じます。将来的に国際司法裁判所(ICJ)等で領有権や国際規律を争う事態になった場合、公式な抗議記録(外交プロテスト / デマールシュ)が存在しないことは致命的な不利をもたらします。
つまり、官房長官や外相が迅速に「遺憾である」とマイクの前で宣言し、外務省が相手国大使を呼び出して厳重抗議を行う一連の儀式は、「日本は主権侵害を一切認めていない」という法的証拠を世界中に即座に残すための必須防衛プロセスなのです。