「周囲の子に比べて喃語が少ない」「昨日まで喋っていたのに急に喃語が消えた」と不安を感じる保護者も少なくありません。しかし、発声の頻度が落ちる背景にはいくつかの自然な理由が存在します。
最も典型的な理由が「運動発達へのリソース集中」です。寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ちといった粗大運動を急速に習得する時期、赤ちゃんの脳は身体のバランスを取ることにエネルギーを全集中させます。その結果、一時的に発声が止まる「喃語消失」の現象が起きますが、体の動かし方に慣れると再びお喋りを再開します。
また、周囲の様子をじっくり観察してインプットする慎重な性格の場合、声に出す頻度が控えめになることも珍しくありません。注意すべき要因としては、中耳炎などによる聴覚のトラブルが挙げられます。音がクリアに聞こえていないと自分の声を模倣しにくくなるため、呼びかけに反応するかどうかを確認しましょう。
なお、「喃語が出ない=発達障害(自閉スペクトラム症など)」と短絡的に結びつける必要はありません。乳幼児期の発達評価では、声の有無だけでなく「目が合うか」「あやすと笑い返すか」「大人の指差した方向を見るか」といった社会性のサインを総合的に観察することが重要視されます。