恋愛心理学で頻繁に語られる「吊り橋効果(恐怖や不安による心拍数の上昇を好意と錯覚する現象)」を狙い、お台場デートのプランにお化け屋敷を組み込むカップルは少なくありません。しかし、現場の取材検証から見えてくるのは、安易なホラーデートが引き起こす深刻なリスクです。
恐怖体験における心理的バウンダリー(個人の心理的許容限界)には極めて大きな個人差が存在します。相手が真剣にホラーを苦手としている場合、極限の暗闇と恐怖に強制的に晒されることで強い拒絶反応やトラウマを植え付けてしまい、「他者の苦痛に配慮できない自己中心的な人間」という悪印象を与えかねません。
また、暗闇の中でパニックに陥った際、恐怖から同行者を置いて一人で逃走してしまったり、過剰に取り乱して情けない姿を露呈してしまったりすることで、関係性に亀裂が入る事例も確認されています。吊り橋効果が良好に作用するのは、「双方がスリルをエンターテインメントとして楽しむ合意と余裕がある状態」に限られるという事実を忘れてはなりません。