北条麻妃の才能は、特定のジャンルだけに留まる器ではなかった。アンダーグラウンドな熱気を帯びたVシネマや、情緒あふれるエロティックシネマの世界においても、彼女は強烈な爪痕を残している。
任侠ドラマの陰影に生きる女、あるいは運命に翻弄されながらも気高く立ち振る舞うヒロイン。荒々しい男たちの世界に対峙しても決して埋没しない存在感は、多くの映画監督やプロデューサーたちを唸らせた。台詞の行間を埋める視線の配り方、わずかな指先の動きで心情を伝える卓越した身体表現は、まさに本格派女優のそれである。
過酷な撮影現場であっても常にプロフェッショナルであり続け、共演者やスタッフからの信頼も厚い。彼女がVシネマや劇映画に残した足跡は、日本のカルトシネマ史においても極めて重要な位置を占めている。