都市部における喫煙環境の劇的な変化は、2026年に全面施行された改正健康増進法に端を発する。厚生労働省が主導した受動喫煙防止対策は、外食産業全体に抜本的な設備投資と運営方針の見直しを迫った。原則屋内禁煙という高いハードルに対し、飲食店は「喫煙専用室の設置」か「全面禁煙化」の二者択一を迫られたのだ。
換気設備の風速基準や排気ルートの確保など、厚労省が定めた技術的基準を満たすには百万円単位の工事費がかかる。資金力のない個人店には重い負担となった一方、法規制は結果として「吸える店」の希少価値を跳ね上がらせた。街から灰皿が消えたことで、基準をクリアして生き残った店舗に愛煙家が集中するという新たな偏在現象も生まれている。