今日マチ子氏の作家としての地位を決定づけたのが、2014年の第18回手塚治虫文化賞「新生賞」の受賞です。受賞対象となった『アノネ、』『cocoon』『みかこさん』をはじめとする一連の作品は、漫画表現の枠組みを拡張したとして選考委員から絶賛を浴びました。
さらに、戦時下の日常と少女の心理をリリカルに描いた『いちご戦争』では第43回日本漫画家協会賞大賞(カーツーン部門)を受賞。コミックエッセイから純文学的な長編、風刺画に近いカーツーンまで、自在に行き来する表現の幅広さは漫画界でも極めて稀有な存在です。
単なる「絵の美しさ」にとどまらず、社会の暗部や人間の根源的な孤独を鋭利な刃のように切り取る物語構成力こそが、文壇や学術関係者からも高い評価を受ける所以です。