圧巻のラストを目撃した観客の多くが抱く疑問が、「演奏を終えたアンドリューはその後どうなったのか」という点です。映画は演奏終了と同時にブラックアウトするため、その後の人生は描かれません。
この問いに対し、デイミアン・チャゼル監督は海外メディアのインタビューで明確な見解を述べています。監督によれば、「アンドリューは30代前半で薬物の過剰摂取や心身の摩耗によって命を落とすだろう」という極めてダークな未来が想定されています。
劇中でフレッチャーが繰り返し語るジャズ界の伝説「チャーリー・パーカーがシンバルを投げつけられたことでバード(天才)になった」という美談。アンドリューはまさにその神話の再現となり、歴史に名を刻むドラマーになったかもしれませんが、待っていたのは幸福な人生ではなく、孤独と破滅に満ちた短命な生涯でした。客席からステージを見つめていたアンドリューの父親の表情に浮かんでいたのは、息子の成功を喜ぶ色ではなく、怪物の世界へ行ってしまった我が子への底知れぬ絶望だったのです。