映画『アイアンマン』の曲・歴代挿入歌を徹底解剖していくと、トニー・スタークの内面変化と絶妙にリンクした選曲の妙が浮き彫りになる。ガレージでアーマーの組み立てに没頭するシーンで流れるスイサイダル・テンデンシーズの「Institutionalized」や、グラマラスなパーティーシーンを彩るクラシック・ジャズの旋律。そこには、トニーの狂気と洗練されたセレブリティの二面性が克明に刻まれている。
シリーズを追うごとに、選曲は単なるBGMの枠を脱し、彼のトラウマやアイデンティティの揺らぎを代弁する装置へと進化した。劇中のガジェット操作音やアーク・リアクターの起動音と音楽がシンクロする音響設計は、今なお色褪せない完成度を誇る。