2012年春、長年親しまれた「らむりん」の卒業は親世代に少なからぬ衝撃を与えた。作中では「お父さんの仕事の都合でフランスへ引っ越す」という自然な旅立ちとして描かれたが、その舞台裏には時代の価値観の変化があった。
企画・開発を手がけるベネッセコーポレーションが直面していたのは、共働き家庭の急増と女性のライフスタイルの多様化だ。専業主婦家庭を想起させやすい従来の設定から一歩踏み出し、働く母親や多世代同居など、より現代的なリアルを反映した家庭像が必要とされていた。そこで誕生したのが、桃山にゃっきいである。
母は出版社で忙しく働き、祖母が家事を支え、父は船の仕事で家を空けがちという家庭環境。おしとやかさよりも「走ること」「木登り」を愛するアクティブな性格。固定化された性別役割分担を軽やかに打ち破るキャラクター造形は、まさに新しい時代の幕開けを告げる象徴だった。