彼の真骨頂といえば、観客の脳裏に焼き付く徹底したキャラクター構築だろう。映画『ゴールデンカムイ』で演じた大日本帝国陸軍第七師団の鶴見中尉役は、まさにその集大成と呼ぶにふさわしい衝撃を与えた。額のプロテーゼに狂気を宿した眼光、張り詰めた声のトーン。原作ファンの高い期待を軽々と凌駕した。
狂気とカリスマ性が同居する難役を成立させたのは、妥協なきリアリズムへの執念だ。軍事教練の所作を体に叩き込み、指先の動きひとつにまで軍人の冷徹さを宿らせた。日本映画史に刻まれるべきあの怪演は、偶然の産物ではない。自らの肉体を削りながら役に魂を吹き込む、職人技の結実なのだ。