「会社に労働組合がないのは法律違反ではないか」という疑問を抱く方は非常に多いですが、法的な結論から言えば労働組合がない会社は違法ではありません。日本国憲法第28条では、労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)のいわゆる「労働基本権」が保障されています。しかし、これは「労働者が組合を結成し活動する権利」を国や企業が侵害してはならないと定めているだけであり、企業側に対して労働組合を設置する義務を課しているわけではないからです。
厚生労働省が公表している「労働組合基礎調査」のデータ推移を分析すると、日本の雇用社会における驚くべき現実が見えてきます。国内の推定労働組合組織率は16.0%前後まで低下しており、逆を言えば雇用労働者の約84%は労働組合のない環境で働いています。さらに企業規模別の格差は極めて顕著です。
従業員1,000人以上の大企業では推定組織率が35〜40%程度を維持しているのに対し、100〜999人の中堅企業では10%台前半、99人以下の中小零細企業に至っては1%未満に過ぎません。日本に存在する企業の99%以上が中小企業であることを踏まえると、「労働組合がない会社」こそが日本社会の圧倒的マジョリティであるというのが冷徹な事実です。したがって、「組合がない」という事実単体をもって直ちに違法企業や異常な組織と断定することはできません。