無惨消滅直後の静寂の中、同じく両目を失い致命傷を負っていた蛇柱・伊黒小芭内が甘露寺の元へと寄り添います。ここから描かれる二人の対話こそ、ファンから「おばみつ」として深く愛される屈指の名場面です。
痛覚すら麻痺し、「私…全然役に立たなかったァ…ごめんなさい…」と自責の涙を流す甘露寺に対し、伊黒は羽織を優しく掛け、震える声で語りかけます。
「そんなことはない、頼むからそんな風に言わないでくれ」――伊黒は、自身が抱えていた過酷な生い立ちと血の穢れに苦しんでいた過去を明かし、彼女の屈託のない笑顔、誰に対しても分け隔てなく向けられる優しさにどれほど救われていたかを切々と告白しました。甘露寺の存在そのものが、暗闇に閉ざされていた伊黒の人生を救う光だったのです。
胸中を満たす温もりの中で、甘露寺は恋柱の最期の言葉として、あふれ出る想いを伝えます。
「私、伊黒さんが好き。伊黒さんと食べるご飯が一番美味しいの。……もしまた人間に生まれ変われたら、私のことお嫁さんにしてくれる?」
その純粋な告白を受け、伊黒は涙を流しながら「勿論だ。君が俺でいいと言ってくれるなら……絶対に君を幸せにする。今度こそ死なせない、必ず守る」と強く誓い、抱きしめ合いました。激痛と冷たさに支配された戦場で、二人は魂を寄り添わせ、静かに同時に息を引き取りました。凄惨な戦いの果てに交わされたこの対話は、悲劇でありながらも互いの魂が救済された至高の瞬間でした。